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空間の原型を継承する。
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築60年の古民家をリノベーションする。
建てられて60年の間に、子供の成長や生活スタイルの変化、インフラの更新など、様々な改修や増築が繰り返されてきた。
利便性の向上のためになされてきた改修の積み重ねは、どこかちぐはぐで付け焼き刃、この住宅の純粋なところが失われつつあるように感じた。
ただ、この民家特有の京間のモジュールや建具で仕切る軽やかさで、おおらかな空間の質は今も保たれている。
外部気密は鼻から諦めたような昔の大工仕事は、多少、冬の寒さは堪えるようだが、内部と外部のあいだに住まうような清々しさを感じる良さがある。
瓦はずっしりと鈍いいぶし銀は、視覚的に見慣れているからか、他には代えがたい安心感と信頼がある。
このような、民家の質の原型のようなものを、改修行為で探し出し、見つけ出し、洗い出し、全体を調整して、次の60年に継承したいと思った。
設計:川島裕一建築設計事務所
施工:松野工務店
構造:木造在来工法
規模:地上2階
延床面積:138㎡(42坪)
所在地:滋賀県
写真:山崎純敬
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